こどもの病気について

小児科の病気

夜尿症について・・・・・兼光聡美

 幼児期に夜寝ている間におもらしをする場合は「おねしょ」、5歳以降で月1回以上のおねしょが3ヶ月以上続くものを「夜尿症」と言います。5~6歳で時々おねしょをしてしまうこどもは約20%、小学校低学年では約10%と年齢とともに少なくなっていきます。自然経過を見ると年に10~15%の割合で治っていきますが、薬物治療、アラーム療法などの治療を行うと1年で50%近くの治癒率になります。

 一般に治療を開始する年齢は学童期以降とされています。おねしょ以外に昼間の尿や便のおもらしがある場合は早めの受診を、おねしょだけであれば5歳くらいまでは「起こさず、焦らず、叱らず」生活指導で自然治癒を待ち、小学生になってもほぼ毎晩夜尿がありこどもさん自身も気にされているようであれば治療を考えていきましょう。

 お子さんの夜尿を心配されているならばお気軽にご相談ください。

こどもの体格について・・・・・戸田尚子

低身長

 お子さんの身長が母子手帳の成長曲線グラフからはみでていたり、最近伸びが悪くなってきたり(グラフ中だけど曲線からずれてきた)、していませんか?もちろん、小柄=病気 ではありません。食事の問題や生まれもった体質の影響が大きいですが、中には治療が必要となる病気が隠れている場合があります(甲状腺機能低下症、成長ホルモン分泌不全症、ターナー症候群(女児)、その他、脳腫瘍や骨の病気など)。だんだん小柄が目立ってきたり、元気のなさや何か気になる症状がある場合は早めに相談してください。

肥満

 小児肥満は増えてきています。肥満は糖尿病、脂肪肝、高血圧などのいわゆる「メタボリック症候群」といわれる病気の土台になってしまうので、早くから正しい生活習慣をみにつけましょう。まず、重要なのは運動と食事のバランスです。しっかり運動をし、食事の好き嫌いをなくし野菜も食べる、おやつ・ジュースを減らす、早食い・ながら食いをやめる、などに注意してみましょう。 

 また、肥満の原因として、生活習慣に関係のない脳腫瘍やホルモン異常などの病気がかくれている場合もあるので、急激な体重の変化や頭痛、元気のなさなどが気になる場合は早めに相談してください

*  お子さんの体格が気になるときはお気軽にご相談ください。

来院されるときは、身長や体重の経過がわかる記録(母子手帳、保育園や幼稚園・学校での成長記録)などをご持参ください。

耳鼻科の病気

急性中耳炎

 中耳は、鼻やノドとつながっており、抵抗力の弱い小さなお子さんは風邪の影響を受けやすく、容易に急性中耳炎をお起こします。耳が痛いので、夜泣きや不機嫌の原因になります。発熱の原因になる場合もあります。

 治療法はお子さんにより、いろいろです。風邪がよくなれば自然に治る場合もありますし、抗生物質を数日間服用してもらう場合もあります。症状によっては鼓膜切開を行う場合もあります。頻度は多くありませんが、高度の急性中耳炎を頻回に反復する方には、ご家族と相談して鼓膜チューブ挿入術を実施することもあります。

 鼓膜の状態だけでなく、お子さんの全身的な状態を見ながら、治療を進めて行きます。

正常の鼓膜

急性中耳炎


滲出性中耳炎

 耳には、「音を聞く」という役割があります。いろいろなことを習得する時期にあるお子さんにとって、また保育園・幼稚園、学校などで集団生活を送るお子さんにとって、聞こえは大事な機能です。

 お子さんで気をつけていただきたいのは、滲出性中耳炎です。中耳に粘っこい液体がたまって聞こえが悪くなる中耳炎で、痛みを訴えることはあまりないのですが、呼びかけても反応がない、テレビの音を大きくするなどの症状があります。 

 中耳は鼻とつながっていてその影響を受けやすく、滲出性中耳炎はアレルギー性鼻炎や副鼻腔炎など鼻疾患のある方に起こりやすいので、多くの方で鼻の治療が必要となります。

 聴力検査で聞こえを評価し、聞こえの悪い状態が長期間続く時には、必要に応じて鼓膜切開や、鼓膜チューブ挿入術を実施することもあります。

滲出性中耳炎:中耳に滲出液が貯まった状態